漫画実写化はサイテーでサイコーだ

世に溢れる漫画の実写化映画を紹介するブログ。

○○の音は聞こえない

漫画実写化映画紹介、記念すべき一作目はこちら。

かぐや様は告らせたい】

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週刊ヤングジャンプで連載中の人気ラブコメ漫画の実写映画化。

2019年9月6日公開。初週に天気の子を抑えランキング1位になるなど、いま旬の映画です。

 

あらすじ

将来を期待されたエリートたちが集う私立・秀知院学園。頭脳明晰・全国模試上位常連の生徒会会長・白銀御行(平野紫耀)と、文武両道で美貌の持ち主・大財閥の娘である生徒会副会長・四宮かぐや(橋本環奈)は互いに惹かれ合っていた。
しかし、高すぎるプライドが邪魔して、告白することが出来ずに、半年が経過―。
素直になれないまま、いつしか自分から告白することが「負け」という呪縛にスライドしてしまった2人は「いかにして相手に告白させるか」だけを考えるようになっていた。
天才だから…天才であるが故に、恋愛にだけはとっても不器用でピュアな2人による、相手に「告らせる」ことだけを追い求めた命がけ(!?)の超高度な恋愛頭脳戦! 果たして勝敗は!? そして2人の初恋の行方は―?

予告

 

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【原作】

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単行本:既刊16巻(2019年9月19日時点)

ジャンル:ラブコメ

ポイント:「恋愛は戦。告白した方が負けなのである」

ダブル主人公の会話劇による1話完結型のラブコメ。ラブコメの中でもギャグが非常に面白く、話の構成も上手い。

たまに入るシリアス長編は賛否あるが個人的にはそれも含めて好きな作品。

花火回サイコーです。

ダブルメイン以外の脇を固めるキャラクターも個性があり、登場を重ねる度にキャラに深みが出るのが凄い。

現在「五等分の花嫁」と双璧をなすラブコメ王と言っても過言ではない。

 

【出演者】

白銀御行:平野紫耀

King & Princeのメンバー。イケメン。

…以外の知識が無いです

 

四宮かぐや:橋本環奈

瞬く間に人間界に現れた天使、1000年さんもすっかり女優として定着。

セーラー服と機関銃」,「ハルチカで主役を張った後、銀魂に神楽役で出演したことで一躍脚光を浴びコメディ女優としての側面も見せる。

今年は「キングダム」に出演。彼女の出演作は全部見てますが、だんだん演技が良くなってるように感じます。

 

藤原千花:浅川梨奈

SUPER☆GiRLSの元エース。

女優として見るのは初めて。

 

石上優:佐野勇斗

準メイン的な役割でちょくちょく拝見。

ちはやふるの後輩役が印象的。

 

柏木渚:池間夏海

ニセコイでは大正義、小野寺役で出演。あどけなさが可愛い。

個人的には小野寺みたいなTHE可愛いという役より、柏木さんみたいな若干サバサバしてる役の方が合ってると思う。

 

早坂愛:堀田真由

初めて見たけど、公開作を複数控えてるあたり売り出し中なのかな。

 

翼くん:ゆうたろう

芸人の方じゃないです。

 

白金父:高嶋政宏

政伸のほうだと思ってた。

 

田沼正造:佐藤二朗

福田雄一の右腕。

まさかこの人を毎日CMで見ることになるとは、ヨシヒコの仏役をやってたときには夢にも思わなかった。

ブレイクしすぎて食傷気味。

 

 

監督:河合勇人

「チア☆ダン」

兄に愛されすぎて困ってます

ニセコイetc....

チア☆ダン以降はアイドルファン向け映画が多いですね。

鑑賞中、映画ニセコイみたいだなーって思ってたらホントに同じ監督でした。目眩がした。

 

 

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【この映画の(個人的)注目ポイント】

  1. 原作各エピソードを一本の映画にまとめられているか
  2. 頭脳戦でのナレーション、モノローグ
  3. 「花火の音は聞こえない」

 

それではまず感想から

 

苦笑の前半から戦々恐々の後半へ!!

監督がやりたい事と原作の雰囲気が噛み合ってないワーストクラスの典型的失敗実写化

 

【ストーリー】

起:ナレーションによる人物紹介から、原作の映画回・恋愛相談回・ペス回・お見舞い回・恋愛相談回2で各登場人物の深掘り

 

承:夏休みに突入し、なかなか会えない2人。生徒会メンバーで花火大会に行くことになるが、かぐやは家の都合で行けなくなり…

 

転:花火回で距離が縮まったものの、生徒会の任期が終わってしまう。白銀とかぐや、それぞれの思惑で生徒会長に立候補し対立。

 

結:すったもんだあり和解。結局元の生徒会メンバーに。俺たちの恋愛頭脳戦はこれからだ。

 

 

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【良かった点】

ワーストクラスなんて言いましたが、良かった点も若干あります。若干

まず、メイン二人の表情の演技

美男美女ですし、それなりに様になっているので見た目、表情の演技なんかは意外と良かった。外見だけで言えば、ちゃんと白銀とかぐや様。

柏木さんが可愛い

柏木神がちゃんと可愛い。それだけ。

この映画に出て唯一株が上がったキャラでは。

原作小ネタ

ちょっとした所に原作の小ネタがあるので、原作ファンは結構嬉しいかも。

気づいただけでも、

・全国模試一位に四条帝の名前

・かぐやコスプレ

・ドーンだYO

ハウリング

・エンドロールで原作表紙を再現

映画で収録できなかったエピソードを小ネタとして出したり、原作ファンだけが気づく演出なんかは原作愛を感じて好感が持てました。

 

ではなぜ肝心のストーリーに原作愛を微塵も感じないのか?

不思議でしょうがない

 

【悪かった点】

ナレーション、モノローグ

原作ファン、アニメを見た方ならご存知だと思いますが、この漫画で非常に重要なのがナレーション。

どの回でもナレーションが多く入り、読者の情報整理として、時にはセルフツッコミとしての役割を担っています。

 

ワンピースで例えると、麦わら海賊団で言うナミ、ロビン

スラムダンクの湘北で言うと、ゴリ、メガネくん、三井、安西先生

こいつらが抜けた後の組織を想像してみてください。まとまりが無く、しっちゃかめっちゃかですよね。

そんな惨状が今作では繰り広げられています。

ナレーションを務めるのは佐藤二朗

佐藤二朗が悪いわけではないです。起用した監督が全面的に悪い。

物語の狂言回しで、ある種の緊張感を維持させる役割を佐藤二朗にしますかね、普通。本業の声優を使え

 

また、1番許せないのが物語の導入部、ナレーションで「恋愛は戦…」と語られるのですが、

画面右下に顔つきで、ナレーション:佐藤二朗。の表示が…

NHKのナレーション番組でも見ない演出を、まさか劇場で観れるとは。あっぱれです

 

福田作品での佐藤二朗のブレイク後、「とりあえず佐藤二朗にアドリブっぽい事させとけばいいんでしょ」という映画をいくつか観ましたが、特に今作では顕著でした。

後半、それが爆発するのですがそれは後ほど。

 

メイン二人のモノローグが控えめに言ってもイマイチなのは、観る前から分かってたのでとやかく言いません。

 

演出が派手

チア☆ダン、ニセコイでもそうでしたが、この監督はとにかく演出が派手。

アニメみたいな背景演出、セリフをテロップで入れる、大げさな効果音、現実ではありえない身振り手振り。

割と演出の雰囲気が近い、ニセコイでやるならわかりますが、かぐや様はラブコメと言えど青年誌。原作の落ち着いた雰囲気の中で行われる頭脳戦?が台無しになっています。

 

派手な演出は画面効果だけではなく、多所に影響を与えているのですが、特に気になったのが会長と翼くんの恋愛相談を盗聴する場面。

 

原作では生徒会室の扉越しに偶然聞いてしまうのですが…映画では早坂のハイテクマシーンにより会話風景をホログラムのようなもので盗聴ならぬ盗撮するのですが、その時にかぐやがかけるハイテクメガネがこれ

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ウルトラセブン」のキャッチアイなのであります。ズギュューーーン!!

この改変、、いります?

扉越しに会話を聞くという表現がそんなに難しかったのでしょうか

 

エピソードの選出

前半は原作にあった複数の1話完結のエピソードがメインになるのですが、その選出が微妙。

全体的にもっと落ち着いた雰囲気にして、相合い傘回や藤原・石上を掘り下げる回を入れた方が、後半のややシリアスな展開に向けて効果的だったように思える。

 

お見舞い回は集客のために必須だったのも分かるし、オチはエピソードとしても良いと思うが仲直りがあっさりしすぎ。

そしてなにより相談相手が石上ではなく翼くんになるという謎改変。

石上の個性が良く出る回なのだがなぜ翼くんにスポットライトを当ててしまったのか…

 

上記のエピソードをカットしたり、採用したエピソードの尺を省いてまでペス回を入れる気概には、

「橋本環奈と浅川梨奈に絶対にち○ち○と言わせるんだ」

という、黄金のような覚悟を言葉でなく心で理解しました。

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花火の音は聞こえない

原作で屈指の人気エピソード。

前編・後編の2部構成から成るのですが、このエピソードは数話前の夏休み突入回から始まっています。

夏休みに入ってしまい、お互いに会えない毎日。気があると思われる訳にはいかないので、当然相手を遊びに誘うことなんてできません。

2人が一回合わない話が5話ほど続きます。

 

そんなつまらない夏休みの、唯一の光が生徒会メンバーでの花火大会。

このイベントだけを楽しみに夏を過ごしていた2人ですが、大財閥の長である父親の許可が降りず、かぐやは花火大会に行けなくなってしまいます。

かぐやを除いた生徒会メンバーが花火を見ている中、1人、部屋のベッドで泣いているかぐや。

ここでタイトル「花火の音は聞こえない 前編」

 

後編はタイトルの意味がガラッと変わる劇エモ回なのですが、この記事を読んでる方はほぼ既読だと思うので割愛します。

 

かぐや様ファンは全員好きなこのエピソード。(異論は認めません)

この出来によって映画の評価が決まると言っても過言ではない…

そんなエピソードを今作では、うっかりエモさゼロの完成度で世に送り出してしまうのであります。

以下、箇条書きで

 

1.まさかのクライマックスではなく中盤

原作でも初のシリアス長編(2話ですが)かつ、2人の関係性が進展する区切りのような回なので、映画でもこのエピソードがトリに来ると思っていました。みなさんも思ったのでは?

(事実、アニメでは最終回に採用)

 

ところが映画ではまさかの1時間をやや過ぎた中盤で展開。

まずここから間違いなのではと思ってしまいます。

会長はもちろん石上、藤原との交流もほとんど描かれないため、「初めて出来た後輩〜」のモノローグも薄っぺらく感じる。

 

2.夏休み期間のタメがないのでカタルシス0

原作では5話前後に渡り、会えない2人を描写し、花火回へのタメを作っていました。

タメがあるからそれが解放された時に、より大きなカタルシスを感じるのですが今作ではタメがほぼありません。

 

夏休みにも関わらず学校に行き、時間差ですれ違ってしまうというエピソードはあるものの、

映画開始から割とすぐに夏休みに突入しているので、いつも一緒にいた2人が夏休みによって引き裂かれてしまった、という感覚が観てる側には無い。

申し訳程度に「早く会いたいなあ」と呟いた後、すぐに花火回なのでタメもクソもあったもんじゃない。

早く2人が再開する所が見たいという、もどかしさが微塵も無いのです…

 

前半1時間で原作各エピソードを繋ぎ合わせ、藤原・石上を含めた生徒会メンバーの掘り下げ。後半30分を夏休み期間に使い、会いたいけど会えない2人を演出。

ラスト30分でじっくり花火回。

 

これではダメだったのでしょうか…

 

3.四宮家使用人が異常なほどハイテンション

原作では早坂を除く使用人の顔が、陰で隠れてほとんど描写されません。

みんな同じメイド服というのが不気味さを増長させ、花火回前編の陰鬱とした雰囲気作りのアクセントとなっています。

 

しかし映画では何を思ったのか全員超オーバーリアクションのハイテンション。

アツアツでしたね。

批評は続ける!指は止めない!!

(分かる人だけ分かればいいです)

 

4.外出禁止を食らったかぐやが悲しそうじゃない

もっと泣け!!!

 

 

そして物語は怒涛の後半へ…

散々ボロクソ言いましたが、ここまでの映画前半はまだ序の口。

体裁だけは原作をなぞっているため、まあ見れないことはないです。

 

後半はオリジナル展開になるのですが、これがまあ酷い。

 

まず佐藤二朗の使い方。

前半ナレーションのみの出演だった彼が、後半では大立ち回りを見せます。

しかし所詮、福田雄一の二番煎じでしかなく全く笑えない。

ヨシヒコでよくやる、長回しでアドリブっぽいセリフをそのまま使うアレを本作でもやっているのですが、そもそもかぐや様であんなギャグ見たことないですよね。違和感しかない。

「とりあえず佐藤二朗にこんな事させとけばいいんでしょ」感をビンビンに感じて笑うどころか不快でした。

(佐藤二朗さんは好きです)

 

その後、生徒会の任期が終わり、新たな生徒会長を決める選挙戦へ話は進みます。

原作で言うとミコちゃんが出てくる回ですね。

面倒なので色々割愛しますが、

かぐやが余命僅かだと勘違いしている白銀は、かぐやに責務を合わせないため会長に立候補

かぐやは、白銀と任期終了後も側にいるために彼を副会長に任命できるよう会長に立候補。(たしか)

 

選挙戦を行うなかで、藤原が白銀側に寝返ったと勘違いしたかぐやは、白銀と本格的に対立。

 

迎えた選挙戦でこともあろうか、かぐやは全校生徒の前で白銀を陥れようとします。(全校生徒少なすぎというツッコミはナシ)

個人的にこの行動に「うわー…」と引いてしまいました。

 

原作のかぐやは、外面的には白銀に冷たい態度を取ることもありましたが、心の中ではずっと白銀の事を想っていました。

ですが映画のかぐやの行動は明らかに白銀に対して敵意を持った言動をしており、好きとは到底思えません。

ここが崩れてしまうと最早恋愛頭脳戦では無くなってしまい、話の根幹が崩れてしまうと感じるのは私だけでしょうか。

 

誤解を解くために白銀が取った行動が、藤原と練習していたソーラン節の披露。

 

*原作の白銀

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*映画の白銀

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どうしてこうなった

 

誤解が解けた2人は全校生徒の前で、色々な国の「大好き」を言い合う奇行に出るのですが、あまりの激アツ展開に脳が追いつかず、この辺はあまり覚えてません。

 

結局白銀が勝ち、元の生徒会メンバーに戻ってめでたしめでたし。私達の恋愛頭脳戦はこれからだ!で大円団。

 

以上が後半の流れになります。

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ジャニヲタがうるさい

隣の席が平野くんのファンだと思われる女子学生でかなりうるさかったです。

でも途中から映画自体どうでもよくなったので許します。

 

他にも

・中途半端に原作再現しているため、石上がキャラ崩壊

・アニメに寄せすぎて藤原がヤベー奴

(天然系じゃなくて○○系)

・不要な下ネタや表現が目立つ

など不満点がありますが長くなるためカットします。

 

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結果的に

1.原作各エピソードを一本の映画にまとめられているか
2.頭脳戦でのナレーション、モノローグ
3.「花火の音は聞こえない」

 

3つの注目ポイント全てがイマイチな映画になっていました。

 

最後に項目ごと採点をし、終わりとさせていただきます。

 

原作再現度   5/10

映像   3/10

ストーリー   2/10

改変・オリジナル要素  0/5

 

原作ファンおススメ度 ★☆☆☆☆

 

 

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誰もが平野くんに目を向ける

 

 

赤坂先生が私のために見せてくれた実写映画

 

 

だけどごめんなさい

 

その歓声から耳が話せない

 

 

隣の席の声がうるさくてもうーー

 

 

映画の音は聞こえない

 

ではまた次の記事で!!