漫画実写化はサイテーでサイコーだ

世に溢れる漫画の実写化映画を紹介するブログ。

惡の華は貴方の心にも

 

漫画実写化映画紹介、3作目はこちら。

惡の華

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別冊少年マガジンで2009年〜2014年まで連載されていたカルト的人気を誇る漫画の実写化。

2019年9月27日公開。

 

あらすじや見所は前記事に載せているのでぜひ。

【注目実写映画】 惡の華 - 漫画実写化はサイテーでサイコーだ

 

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【原作】

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単行本:全11巻

ジャンル:青春サスペンス

ポイント:ヒットメーカー押見修造の代表作。

思春期特有の自我の不安定さ、確立を作者特有の鬱屈とした雰囲気で中学生編・高校生編の異なるテイストの2部で織りなすブラック青春モノ。

2013年にアニメ化。

ロトスコープという、実写をアニメにトレースする技法が話題に。

 

 

【出演者】

伊藤健太郎:春日高男

ドラマ今日から俺は!!」で昨年ブレイクした若手俳優

映画では「チアダン」「コーヒーが冷めないうちになどでの出演が記憶に新しいです。

イケメンだけど演技派で体も張れる、これから非常に活躍しそうな役者さんですね。

 

玉城ティナ:仲村佐和

元「Vi Vi」専属モデル。

私が最初に劇場で彼女を見たのは闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」

その後もちょくちょく見かけ、その度に「悪魔的にキレイな人だなー」って思ってました。

脇役で存在感を放っていた彼女ですが、今年ついにブレイク。主役も含め今年4本の映画に出演。しかもそのうち3本が漫画原作という。

彼女の圧倒的美人なビジュアルは、ファンタジックになりがちな漫画原作作品によく合っていると思います。

 

秋田汐梨:佐伯奈々子

伊藤さん・玉城さん・飯豊さんの、売れっ子3人に囲まれる中、今作のダークホースとなった秋田さん。

非常に重要な役である佐伯さんを好演していました。

 

飯豊まりえ:常盤文

今現在もモデルとして活躍するなか、女優としても活躍中の女優。「暗黒女子」での怪演がめっちゃ好きです。

 

監督:佐藤信

2011年公開「GANTZ」で名を馳せ、近年は「

デスノート Light up the NEW world」「いぬやしき」「BLEACH」「キングダム」など、漫画実写化作品を多く手がけています。漫画実写化と言えば佐藤信介、といってもおかしくない。

日本映画らしからぬ、スケールの大きなアクションが特徴。

 

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【この映画の(個人的)注目ポイント】

日常→パンデミックの緩急
ZQNがちゃんと怖いか
秀雄の発砲お披露目シーン
 

それではまず感想から

 

世界よ、これが邦画だ!!

日本映画史に残るジェットコースタームービー

 

【ストーリー】

起:漫画アシスタントをしている鈴木英雄(35)はなかなか連載が決まらない漫画家でクレー射撃が趣味。

しがない毎日を過ごしており、同棲中の彼女と

も上手くいっていない。そんな日々が続くかと思われたが…

 

承:複数の人間が突如、ゾンビのような生命体(ZQN)に変わり果て、混乱の渦となった東京で英雄は偶然出会った女子高生、比呂美と共に逃走することになる。

 

転:安息地、富士山に向かう途中でショッピングモールに立ち寄る英雄と比呂美だったが、そこでは生き残った人間たちで一つの「社会」が形成されていた。

生き残った人間たちに虐げられていた英雄は、ZQNの住処であるモール内への食料調達へ向かうことに。その結果、大軍のZQNに襲われる事態になってしまう。

 

結:逃走時に御守りとして持ち出したクレー射撃用の銃でZQNの大軍を全滅させた英雄。

守りたい者のために奮闘した彼の姿は、名前に違わぬ正に英雄(ヒーロー)だった。

 

 

【良かった点】

実写映画のみならず、日本映画の歴史に名を残したといっても良い今作。

全編通して良かった点ばかりなのですが、漫画の実写化という観点で、特に良かったと感じた所を挙げていきたいと思います。

 

ゾンビがしっかり怖い

単純ですが、劇中に出てくるゾンビがちゃんと怖い。まず1番最初に登場する第1号ゾンビが片瀬那奈さん。

みなさん片瀬那奈がゾンビ役を演じると聞いて、どんなゾンビを想像しますか?

おそらくこんな感じなのでは…

 

私も鑑賞前は、「はいはい、原作と違ってなんちゃってゾンビなんでしょ?名前も売れてる片瀬那奈だし」

なんて思ってました。

 

さて、それでは今作で片瀬那奈はどんなゾンビ姿を披露したでしょう。

そらがこちら

 

 

はい。この時点(開始17分)でこの映画は勝ちです。

顔を灰色にしたり、血が出てたり…なんて甘っちょろい造形では無く、血管は浮き出て、目はおかしな方向を向いてる。一目見て「あぁ、この人はもう人間じゃないんだ」と思わせるビジュアルを日本映画で、しかも漫画実写化で見られるとは。

 

出てくるゾンビがみんな怖くて、鑑賞後の帰り道ですれ違う人が襲ってくるんじゃないかとビクビクしてしまうほどでした。(マジ)

 

 

個人的な意見ですが、対象が国レベル・世界レベルにまで及ぶホラー物やパニック物(シンゴジラなど)は、トラブルが起こる前の日常を映す描写がとても大きな役割を持っていると思っています。

なんて事ない平和な日常を見せられるからこそ、変貌した世界にワクワクするというもの。

 

原作では本格的にゾンビ漫画になるのは2巻以降で、中途でさりげなく仄めかす要素はあるものの1巻は丸々主人公の日常描写に費やしています。

原作1巻発売当初話題になったのもそれが理由の一つでした。

連載漫画ならではの表現ですが、映画化した今作でもパンデミックまでのタメができているのが大きな評価点です。

時間で言えば15分ほどなのですが、主人公の行動範囲を職場・家に絞る事で「彼女と上手くいっていない冴えない男の日常」感が絶妙に描写できていました。

そんな中で、テレビでは奇怪なニュースが流れていたり、夜道に怪しい人物が歩いていたり、戦闘機が飛んでいたり…など水面下でヤバい事が起きてる感もしっかり伝わってきて「タメ」の部分で飽きさせない工夫もされています。

 

前半部の急転直下のジェットコースター展開

前述の片瀬那奈ゾンビを退けた後、いよいよ日常がブッ壊れます。

彼女がZQNになったこと、殺めてしまったことに動揺しながら鈴木英雄(スズキヒデオ 以下、英雄)は家から離れるのですが、動揺もつかの間、既にパンデミックは起きていて道行く先にZQNが徘徊しています。

パニックになった英雄は交差点のある大通りに逃げるのですが、そこにはZQNから逃げる大勢の人間。

 

一本道の住宅街から広い大通りに出ると、一斉に逃げ惑う数百人の市民、黒煙を吹くビルが。

ここのカットが最&高です!!

室内→住宅街→大通り

ゾンビ登場ポイントが狭い場所から広い所へ。

その相乗効果もあり、広い画で大勢の人が逃げるカットは絶大なインパクトがあります。

直感的に「あ、日本終わったわ」と感じてしまうこのシーン。ぜひ見ていただきたいです。

 

 

この後には、これだけでは飽き足らずなんとハリウッドに劣らぬカーアクションも見せてくれちゃいます。

前半はまさに、息も止まるジェットコースタームービー。

 

ショッピングモール屋上の人間関係描写

後半は原作7.8巻に相当するショッピングモール編。ゾンビ映画おなじみのショッピングモールに舞台を移すのですが、これまたおなじみの人間vs人間という展開に。

たしかにベタでありふれた展開ではありますが、キャラ1人1人が漫画を踏襲しつつも現実に落とし込んでいて、言葉に言い表さない嫌味っぽさ、俗っぽさが見え隠れしていてとてもGOODです。

特に吉沢悠さん演じる「伊浦」。

漫画から出てきたと思わせるぐらいの再現度は必見。

表向きは勝ち気だけど、守りたくなるような女性らしさも秘める人物「薮」も、長澤まさみが好演しています。

 

ロッカーの葛藤シーン

ショッピングモール屋上で色々あり、ZQNが巣食うモールへ食料調達作戦に向かいます。

トンカチ🔨のみというモンハン装備なし縛りプレイ愛好者もびっくりの軽装備で参加させられた英雄は、案の定ピンチに。

ビビり散らした英雄はロッカーの中に隠れるのですが、ここでの葛藤シーンが素晴らしい。

「怖い。でも行かなきゃ…でも怖い…」と葛藤を重ねる彼は、ロッカーから飛び出したときのシミュレーションをするのですが、どうしてもZQNに喰われてしまうイメージしかできない。

 

何度も繰り返される葛藤、シミュレーション。

一歩が踏み出せない英雄ですが、偶然落ちていた通信機から聞こえた薮のSOSで、遂にロッカーを飛び出します。

 

この場面の葛藤、そして漢の決断のシーンが凄く好きです。ロッカー内の鏡に映った自分を見たときの何とも言えない表情もいいですね。

 

英雄、初発砲シーン

作戦開始時に銃を取り上げられていた英雄ですが、所有者が死んだ事で銃を取り返します。

法律や人に向けて撃つ戸惑いなどで、引き金を引けなかった英雄ですが、守りたい存在(薮、比呂美)のために満を持して発砲。

 

当然ですが、日本では銃刀法により銃の所持を認められていません。

そんな日本を舞台にしてるからこそ、この映画では「銃」という存在がより大きなものになっています。

それまで1時間30分に渡って見てきたのは、鉄パイプや金属バット、エアガンでZQNと対峙する人間たち。

舞台が日本であるならば当然ですよね、銃なんてそうそう手に入らない。

そこに正に満を持して銃の登場ですよ。

アガらない訳がない。

もし序盤からバンバン発砲してたら個人的には駄作でした。

 

また原作ファンとしては「はーい」が再現されていたのもポイント高。

「はーい」ってなんだよってツッコミは無しです。

 

 

ラストの無双

薮と比呂美を救出後、逃走を図る英雄ですが、出口に繋がる通路でZQNの大軍に挟み撃ちになってしまいます。

もうダメかと落胆する一行でしたが、英雄の目は死んでません。

「(弾)あるだけ倒します」と言い切って弾を装填する姿は男でも惚れそうになります。

こんな大泉洋が観れるのは「アイアムアヒーロー」だけ!

 

銃について詳しくないので名称が出てこないのですが、「空になった銃弾を抜いて新しい銃弾を装填する動作」。慣れてる人はこれがめちゃくちゃ早いんですが、超カッコいいんだこれが。

 

100匹以上はいるZQNを撃って撃って撃ちまくります。日本映画とは思えないスケール感。(撮影は韓国らしいですね、日本では許可が降りないだとか)

原作では屋外の橋の上でこのシーンにあたる展開があるのですが、映画では狭いトンネルのような通路になっています。

舞台を狭くしたことで、映像的にも迫力が出るし絶望感も増長。

素晴らしい改変だったと思います。

太ってるZQNに欠損してるZQNなど、ZQNのバリエーションが豊かなのも良い。

 

英雄(ヒーロー)

100体近くの全てのZQNを撃退した英雄を見て、比呂美は「ヒーロー…」と呟きます。

 

薄暗いトンネル(通路)の中、逆光を背に浴びる姿は正にヒーロー。そりゃ有村架純も思わず呟いちゃいます。

 

ちなみに原作では、薮と比呂美は自ら危機を乗り越え、孤軍奮闘している英雄を車で助けるという立場。

むしろ比呂美を守り抜いたのは薮で、英雄も薮に助けられたという印象ですね。

物語終盤の改変がこの映画では非常に光っています。

 

ショッピングモールを車で脱出したところで物語は幕引き。

物語序盤、自ら名乗るときに毎回「『えいゆう』と書いて英雄と読みます」と言っていた英雄。

物語ラストで薮に名前を聞かれますが、「鈴木英雄、ただの『ひでお』です。」と名乗ります。

 

本当のヒーローは自分でヒーローと名乗らないんですね

 

 

【賛否ある点】

全体的には120点満点の今作ですが、個人的にはどうかな…?という点もほんの少しだけ。

まず比呂美のZQN化

物語が中盤に差し掛かる頃、実は赤ちゃんZQNに噛まれていた事が判明し、比呂美はZQNになってしまいます。

 

ところがなぜか比呂美は完全にはZQN化せず「半ZQN」という存在に。

ゾンビモノだとよくありますよね。

抗体を持ってたり特殊な体質で完全にはゾンビ化しないキャラ。

原作ではショッピングモール編後、「クルス」という存在が登場し、比呂美の半ZQN化にも理由が出てくるのですが映画では最後まで半ZQNのまま。

 

半ZQNどころかZQNの詳細すら明かされないので、比呂美の存在がよく分からないまま物語が進み終焉を迎えるという感じになっているんですよね。

比呂美をより弱い存在(守られる存在)として描きたかったというのも分かるのですが(半ZQNになった比呂美は基本寝たまま)、元々が女子高生なのでピンピンしている状態でも、守る対象としては十分なのではと思ってしまいます。

 

原作には続きがあっても映画化するなら一本の映画内で話を完結させる。

というのが筋だと思うので、比呂美の半ZQN化は無くてもよかったのでは、というのが個人的な意見です。

 

ポスター、予告がダサい

契約の都合上、出演者の顔を載せなければいけないという制約もあり、「邦画のポスターはダサい」というのは一般常識ですよね。

今作はメインの登場人物も少ないため、そんなに画がゴチャゴチャしている印象はないのですが、かっこいいかと言われるとうーーん…という感じ。

 

 

ちなみに海外版のポスターはこれです。

 

これでいいじゃん!!

 

あと予告が妙にハイテンションであまり好きじゃないです。

たしかにエンタメ要素の強いホラー映画ではありますが…

 

以上が賛否ある点ですが、こんなのは些細なこと。ほぼ良い点しか無い化け物実写映画です。(ゾンビモノだけに)

 

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日常→パンデミックの緩急
ZQNがちゃんと怖いか
発砲お披露目シーン
 

前回の記事で書いたかぐや様と対象的に、注目すべき3つ全てが高水準の完成度になってる大当たり映画。

 

「実写映画が原作を超えることなんて無い!」

と(大して実写映画も見てないくせに)豪語する輩がいますが、個人的にこの映画は原作を超えていると思っています。

少なくともショッピングモール終盤は神改変です。

 

原作再現度  9/10

映像  10/10

ストーリー  8/10

改変・オリジナル要素  5/5

 

原作ファンおススメ度★★★★★

 

日本映画屈指のアクションホラー映画「アイアムアヒーロー

原作ファンもそうで無い方もぜひ和風パンデミックを体験してみてください!!

【注目実写映画】 惡の華

この記事ではこれから公開予定の注目漫画実写映画を紹介します。

紹介と言っても、原作のストーリーを解説したりはしないので「こいつこの映画楽しみにしてるんだな」って思ってもらえればいいです。

 

その作品は……

9月27日公開

惡の華

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原作者は、ヒットメイカ押見修造

「漂流ネットカフェ」「ぼくは麻理のなか」などを手がけ、漫画好きならきっと一つは読んだことがあるのでは。

そんな押見修造の代表作「惡の華」が連載終了から5年を経て実写映画化されます!

やっほーー!!!

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未読の方のために超〜簡単にあらすじを紹介すると、

 

舞台は田舎町(一説では群馬県と言われてます)

ボードレールの小説「惡の華」を読んでいることが唯一のアイデンティティである中学生、春日くんは、誰もいない放課後の教室でつい魔が差してしまい、好きな子(佐伯さん)の体操着を盗んでしまいます。

 

幸い、体操着を盗んだ犯人が自分だと言う事はバレておらず、コッソリ返して無かったことにしようとする春日くんですが只一人、犯行現場を目撃していた人物が…

 

それがこの物語のもう一人の主人公でありキーパーソン、仲村さんです。

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この仲村さん、クレイジーという言葉が陳腐に聞こえるぐらい色々とブッとんだ人物でして(そこが魅力でもあります)

「盗難を黙っててあげる代わりに、私と契約しよう」と持ちかけます。

 

契約により、仲村さんの言うことをなんでも聞かなければいけなくなった春日くん。

修羅場を乗り越えていくうちに、それまで気づかなかった自分の側面、また、ただブッとんでるだけではない仲村さんの内面と向き合うことになります。

はたして、佐伯さんと仲村さんの間で揺れ動く春日くんが選ぶ未来は…

 

という感じ。簡単に言うと「超ブラック青春ストーリー」です。

押見さんの作品はほぼ全部読んでいるのですが、一番好きなのが惡の華であり、押見作品にハマったきっかけでもあります。

初めて出会ったのは忘れもしない中2の夏。

近くの古本屋でたまたまこの表紙が目につきました。

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こんなのあったら誰でも手に取りますよね

 

押見作品特有の漫画全体に蔓延する鬱屈感、独特な雰囲気に飲み込まれ、その日のうちに当時最新巻の5巻まで読みきりました。

6巻の発売を今か今かと待ちわびるほど、すっかり虜になった私でしたが当時は中学生。

こんなイかれた漫画を読んでるのを親に知られたくなかった私は、6巻をレンタルして当日中に返却しました。

7巻発売時にはもう色々と吹っ切れていて、1〜6巻も合わせて購入。

今でも定期的に読み返します。

 

…と、そんなどうでもいい事も覚えているほどお気に入りの漫画の実写化。

めちゃくちゃ楽しみなのです。

 

 

【この映画の(個人的)注目ポイント】

  1. 仲村さんの存在感、佐伯さんのヤンデレ
  2. 田舎町の閉塞感
  3. ストーリーの畳み方

 

原作ファンの私が、今作の映画化に求める3つのポイントです。

 

《仲村さんの存在感、佐伯さんのヤンデレ感》

まずこの作品を支えるのが、何と言っても仲村さんの強烈なキャラクター。

一見ただのヤバいやつですが、学校の外(自分を解き放てる場所)ではいろんな表情を見せる人物でもあります。

こんな顔や

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こんな顔

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こんな顔まで

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仲村さんの魅力=作品の魅力にも直結するのでここは注目です。

演じるのは玉城ティナさん。

期待しましょう。

 

そしてヒロイン、佐伯さん。

序盤では完璧美少女の佐伯さんですが、後半にかけて違う一面が顔を出します。

そこのギャップ、怪演に期待です。

 

《田舎町の閉塞感》

舞台となるのは山と工場に囲まれた片田舎。

原作では田舎特有の閉塞感がとても良く表現されています。

読者も物語内に閉塞感を感じるからこそ、登場人物の「ここではない何処かへ」という感情から来る葛藤や暴走に感情移入できるため、映画ならではの閉塞感の表現に注目したいです。

 

《ストーリーの畳み方》

原作では中学編後、高校編に移るのですが、映画はどこまでやるのでしょうか。

キャストに高校編で登場する常盤さんがいるので、高校編までやりそうですが、2時間ではどう考えても駆け足になってしまいます。

ストーリーを練り直して、ラストをオリジナルにするのか?

ストーリーを端折って本当に原作ラストまでやるのか?

どちらにしても監督の腕の見せ所。

一本の映画としての話の畳み方も楽しみです。

 

鑑賞後、明後日土曜日には感想記事上げたいと思います。

映画「惡の華」は明日から公開。気になった方はぜひ。

至極の和風パンデミック!!

 

漫画実写化映画紹介、二作目の作品はこちら。

アイアムアヒーロー

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ビッグコミックスピリッツで2009年〜2017年まで連載されていた人気漫画の実写化。

2016年4月23日に公開。公開前から海外の映画祭などで受賞。

原作ファンのみならず、映画通からの評価も高い作品。

 

あらすじ

漫画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄(大泉洋)。そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウイルスに感染して襲い掛かってくる。慌てて趣味の射撃で所持する散弾銃を手に外に飛び出す英雄だが、街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた。出会った女子高生・早狩比呂美(有村架純)と逃げるが、彼女は歯のない赤ん坊のZQNにかまれて半分ZQN半分人間という状態に。比呂美を連れてショッピングモールに逃げ込んだ英雄は、そこで藪(長澤まさみ)という勝気な看護師と顔を合わせる。

 

予告

 

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【原作】

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単行本:全22巻

ジャンル:サスペンスホラー

ポイント:ゾンビ物では1.2を争う人気漫画。

冴えない中年男が、ある日終わりを迎えた日本で生き抜くサバイバルストーリー。

本作のゾンビはただのゾンビではなく「ZQN」(ゾキュン)と呼ばれる、元人間だったなにか。

DQNからモジったのかな?

売れない漫画家の冴えない日々が延々と綴られる1巻の、ラスト数ページは伝説。

ゾンビ物と知らずに読んだ当時の衝撃はプライスレス。またあんな漫画体験をしたいです

 

【出演者】

鈴木英雄:大泉洋

この映画は1人の中年男性が「英雄」になるお話ですが、この人は既に北海道の英雄ですね。伝説的ローカル番組の顔も、今ではすっかり日本映画界に欠かせない存在に。

コメディリリーフから主役まで、幅広く演じられています。

 

早狩比呂美:有村架純

毎年大作に出演し、順調にキャリアを重ねています。私が好きな作品にはよくこの人が出てる。

 

伊浦:吉沢悠

初めて拝見しましたが、存在感を発揮してましたね。ハマり役だったと思います

 

サンゴ:岡田義徳

名脇役」という名にふさわしい方。映画好きでなくても、「なにかで見たことある!」という方多いのでは。この方が出てると画面に安心感が生まれますね

 

てっこ:片瀬那奈

イメージの割に出演作が少ない女優。

キャリアも長く、出番が少なくてもしっかり存在感を示す演技は流石。

 

薮:長澤まさみ

2004年公開世界の中心で、愛をさけぶで日本中を虜にした後、2011年公開モテキでこれまでとは違った役柄で再び日本中を虜にした日本を代表する美女。

今年は「マスカレードホテル」「キングダム」「コンフィデンスマンJP」の3作に出演し、それぞれ違うキャラクターを好演。

大物女優という看板が板についてきましたね。

今作ではエンドクレジットを務める。

 

監督:佐藤信

2011年公開「GANTZ」で名を馳せ、近年は「

デスノート Light up the NEW world」「いぬやしき」「BLEACH」「キングダム」など、漫画実写化作品を多く手がけています。漫画実写化と言えば佐藤信介、といってもおかしくない。

日本映画らしからぬ、スケールの大きなアクションが特徴。

 

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【この映画の(個人的)注目ポイント】

  1. 日常→パンデミックの緩急
  2. ZQNがちゃんと怖いか
  3. 秀雄の発砲お披露目シーン

 

それではまず感想から

 

世界よ、これが邦画だ!!

日本映画史に残るジェットコースタームービー

 

【ストーリー】

起:漫画アシスタントをしている鈴木英雄(35)はなかなか連載が決まらない漫画家でクレー射撃が趣味。

しがない毎日を過ごしており、同棲中の彼女と

も上手くいっていない。そんな日々が続くかと思われたが…

 

承:複数の人間が突如、ゾンビのような生命体(ZQN)に変わり果て、混乱の渦となった東京で英雄は偶然出会った女子高生、比呂美と共に逃走することになる。

 

転:安息地、富士山に向かう途中でショッピングモールに立ち寄る英雄と比呂美だったが、そこでは生き残った人間たちで一つの「社会」が形成されていた。

生き残った人間たちに虐げられていた英雄は、ZQNの住処であるモール内への食料調達へ向かうことに。その結果、大軍のZQNに襲われる事態になってしまう。

 

結:逃走時に御守りとして持ち出したクレー射撃用の銃でZQNの大軍を全滅させた英雄。

守りたい者のために奮闘した彼の姿は、名前に違わぬ正に英雄(ヒーロー)だった。

 

 

【良かった点】

実写映画のみならず、日本映画の歴史に名を残したといっても良い今作。

全編通して良かった点ばかりなのですが、漫画の実写化という観点で、特に良かったと感じた所を挙げていきたいと思います。

 

ゾンビがしっかり怖い

単純ですが、劇中に出てくるゾンビがちゃんと怖い。まず1番最初に登場する第1号ゾンビが片瀬那奈さん。

みなさん片瀬那奈がゾンビ役を演じると聞いて、どんなゾンビを想像しますか?

おそらくこんな感じなのでは…

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私も鑑賞前は、「はいはい、原作と違ってなんちゃってゾンビなんでしょ?名前も売れてる片瀬那奈だし」

なんて思ってました。

 

さて、それでは今作で片瀬那奈はどんなゾンビ姿を披露したでしょう。

そらがこちら

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はい。この時点(開始17分)でこの映画は勝ちです。

顔を灰色にしたり、血が出てたり…なんて甘っちょろい造形では無く、血管は浮き出て、目はおかしな方向を向いてる。一目見て「あぁ、この人はもう人間じゃないんだ」と思わせるビジュアルを日本映画で、しかも漫画実写化で見られるとは。

 

出てくるゾンビがみんな怖くて、鑑賞後の帰り道ですれ違う人が襲ってくるんじゃないかとビクビクしてしまうほどでした。(マジ)

 

 

個人的な意見ですが、対象が国レベル・世界レベルにまで及ぶホラー物やパニック物(シンゴジラなど)は、トラブルが起こる前の日常を映す描写がとても大きな役割を持っていると思っています。

なんて事ない平和な日常を見せられるからこそ、変貌した世界にワクワクするというもの。

 

原作では本格的にゾンビ漫画になるのは2巻以降で、中途でさりげなく仄めかす要素はあるものの1巻は丸々主人公の日常描写に費やしています。

原作1巻発売当初話題になったのもそれが理由の一つでした。

連載漫画ならではの表現ですが、映画化した今作でもパンデミックまでのタメができているのが大きな評価点です。

時間で言えば15分ほどなのですが、主人公の行動範囲を職場・家に絞る事で「彼女と上手くいっていない冴えない男の日常」感が絶妙に描写できていました。

そんな中で、テレビでは奇怪なニュースが流れていたり、夜道に怪しい人物が歩いていたり、戦闘機が飛んでいたり…など水面下でヤバい事が起きてる感もしっかり伝わってきて「タメ」の部分で飽きさせない工夫もされています。

 

前半部の急転直下のジェットコースター展開

前述の片瀬那奈ゾンビを退けた後、いよいよ日常がブッ壊れます。

彼女がZQNになったこと、殺めてしまったことに動揺しながら鈴木英雄(スズキヒデオ 以下、英雄)は家から離れるのですが、動揺もつかの間、既にパンデミックは起きていて道行く先にZQNが徘徊しています。

パニックになった英雄は交差点のある大通りに逃げるのですが、そこにはZQNから逃げる大勢の人間。

 

一本道の住宅街から広い大通りに出ると、一斉に逃げ惑う数百人の市民、黒煙を吹くビルが。

ここのカットが最&高です!!

室内→住宅街→大通り

ゾンビ登場ポイントが狭い場所から広い所へ。

その相乗効果もあり、広い画で大勢の人が逃げるカットは絶大なインパクトがあります。

直感的に「あ、日本終わったわ」と感じてしまうこのシーン。ぜひ見ていただきたいです。

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この後には、これだけでは飽き足らずなんとハリウッドに劣らぬカーアクションも見せてくれちゃいます。

前半はまさに、息も止まるジェットコースタームービー。

 

ショッピングモール屋上の人間関係描写

後半は原作7.8巻に相当するショッピングモール編。ゾンビ映画おなじみのショッピングモールに舞台を移すのですが、これまたおなじみの人間vs人間という展開に。

たしかにベタでありふれた展開ではありますが、キャラ1人1人が漫画を踏襲しつつも現実に落とし込んでいて、言葉に言い表さない嫌味っぽさ、俗っぽさが見え隠れしていてとてもGOODです。

特に吉沢悠さん演じる「伊浦」。

漫画から出てきたと思わせるぐらいの再現度は必見。

表向きは勝ち気だけど、守りたくなるような女性らしさも秘める人物「薮」も、長澤まさみが好演しています。

 

ロッカーの葛藤シーン

ショッピングモール屋上で色々あり、ZQNが巣食うモールへ食料調達作戦に向かいます。

トンカチ🔨のみというモンハン装備なし縛りプレイ愛好者もびっくりの軽装備で参加させられた英雄は、案の定ピンチに。

ビビり散らした英雄はロッカーの中に隠れるのですが、ここでの葛藤シーンが素晴らしい。

怖い。でも行かなきゃ…でも怖い…」と葛藤を重ねる彼は、ロッカーから飛び出したときのシミュレーションをするのですが、どうしてもZQNに喰われてしまうイメージしかできない。

 

何度も繰り返される葛藤、シミュレーション。

一歩が踏み出せない英雄ですが、偶然落ちていた通信機から聞こえた薮のSOSで、遂にロッカーを飛び出します。

 

この場面の葛藤、そして漢の決断のシーンが凄く好きです。ロッカー内の鏡に映った自分を見たときの何とも言えない表情もいいですね。

 

英雄、初発砲シーン

作戦開始時に銃を取り上げられていた英雄ですが、所有者が死んだ事で銃を取り返します。

法律や人に向けて撃つ戸惑いなどで、引き金を引けなかった英雄ですが、守りたい存在(薮、比呂美)のために満を持して発砲

 

当然ですが、日本では銃刀法により銃の所持を認められていません。

そんな日本を舞台にしてるからこそ、この映画では「銃」という存在がより大きなものになっています。

それまで1時間30分に渡って見てきたのは、鉄パイプや金属バット、エアガンでZQNと対峙する人間たち。

舞台が日本であるならば当然ですよね、銃なんてそうそう手に入らない。

そこに正に満を持して銃の登場ですよ。

アガらない訳がない。

もし序盤からバンバン発砲してたら個人的には駄作でした。

 

また原作ファンとしては「はーい」が再現されていたのもポイント高。

「はーい」ってなんだよってツッコミは無しです。

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ラストの無双

薮と比呂美を救出後、逃走を図る英雄ですが、出口に繋がる通路でZQNの大軍に挟み撃ちになってしまいます。

もうダメかと落胆する一行でしたが、英雄の目は死んでません。

「(弾)あるだけ倒します」と言い切って弾を装填する姿は男でも惚れそうになります。

こんな大泉洋が観れるのは「アイアムアヒーロー」だけ!

 

銃について詳しくないので名称が出てこないのですが、「空になった銃弾を抜いて新しい銃弾を装填する動作」。慣れてる人はこれがめちゃくちゃ早いんですが、超カッコいいんだこれが。

 

100匹以上はいるZQNを撃って撃って撃ちまくります。日本映画とは思えないスケール感。(撮影は韓国らしいですね、日本では許可が降りないだとか)

原作では屋外の橋の上でこのシーンにあたる展開があるのですが、映画では狭いトンネルのような通路になっています。

舞台を狭くしたことで、映像的にも迫力が出るし絶望感も増長。

素晴らしい改変だったと思います。

太ってるZQNに欠損してるZQNなど、ZQNのバリエーションが豊かなのも良い。

 

英雄(ヒーロー)

100体近くの全てのZQNを撃退した英雄を見て、比呂美は「ヒーロー…」と呟きます。

 

薄暗いトンネル(通路)の中、逆光を背に浴びる姿は正にヒーロー。そりゃ有村架純も思わず呟いちゃいます。

 

ちなみに原作では、薮と比呂美は自ら危機を乗り越え、孤軍奮闘している英雄を車で助けるという立場。

むしろ比呂美を守り抜いたのは薮で、英雄も薮に助けられたという印象ですね。

物語終盤の改変がこの映画では非常に光っています。

 

ショッピングモールを車で脱出したところで物語は幕引き。

物語序盤、自ら名乗るときに毎回「『えいゆう』と書いて英雄と読みます」と言っていた英雄。

物語ラストで薮に名前を聞かれますが、「鈴木英雄、ただの『ひでお』です。」と名乗ります。

 

本当のヒーローは自分でヒーローと名乗らないんですね

 

 

【賛否ある点】

全体的には120点満点の今作ですが、個人的にはどうかな…?という点もほんの少しだけ。

まず比呂美のZQN化

物語が中盤に差し掛かる頃、実は赤ちゃんZQNに噛まれていた事が判明し、比呂美はZQNになってしまいます。

 

ところがなぜか比呂美は完全にはZQN化せず「半ZQN」という存在に。

ゾンビモノだとよくありますよね。

抗体を持ってたり特殊な体質で完全にはゾンビ化しないキャラ。

原作ではショッピングモール編後、「クルス」という存在が登場し、比呂美の半ZQN化にも理由が出てくるのですが映画では最後まで半ZQNのまま。

 

半ZQNどころかZQNの詳細すら明かされないので、比呂美の存在がよく分からないまま物語が進み終焉を迎えるという感じになっているんですよね。

比呂美をより弱い存在(守られる存在)として描きたかったというのも分かるのですが(半ZQNになった比呂美は基本寝たまま)、元々が女子高生なのでピンピンしている状態でも、守る対象としては十分なのではと思ってしまいます。

 

原作には続きがあっても映画化するなら一本の映画内で話を完結させる。

というのが筋だと思うので、比呂美の半ZQN化は無くてもよかったのでは、というのが個人的な意見です。

 

ポスター、予告がダサい

契約の都合上、出演者の顔を載せなければいけないという制約もあり、「邦画のポスターはダサい」というのは一般常識ですよね。

今作はメインの登場人物も少ないため、そんなに画がゴチャゴチャしている印象はないのですが、かっこいいかと言われるとうーーん…という感じ。

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ちなみに海外版のポスターはこれです。

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これでいいじゃん!!

 

あと予告が妙にハイテンションであまり好きじゃないです。

たしかにエンタメ要素の強いホラー映画ではありますが…

 

以上が賛否ある点ですが、こんなのは些細なこと。ほぼ良い点しか無い化け物実写映画です。(ゾンビモノだけに)

 

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  1. 日常→パンデミックの緩急
  2. ZQNがちゃんと怖いか
  3. 発砲お披露目シーン

 

前回の記事で書いたかぐや様と対象的に、注目すべき3つ全てが高水準の完成度になってる大当たり映画。

 

「実写映画が原作を超えることなんて無い!」

と(大して実写映画も見てないくせに)豪語する輩がいますが、個人的にこの映画は原作を超えていると思っています。

少なくともショッピングモール終盤は神改変です。

 

原作再現度  9/10

映像  10/10

ストーリー  8/10

改変・オリジナル要素  5/5

 

原作ファンおススメ度★★★★★

 

日本映画屈指のアクションホラー映画「アイアムアヒーロー

原作ファンもそうで無い方もぜひ和風パンデミックを体験してみてください!!

○○の音は聞こえない

漫画実写化映画紹介、記念すべき一作目はこちら。

かぐや様は告らせたい】

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週刊ヤングジャンプで連載中の人気ラブコメ漫画の実写映画化。

2019年9月6日公開。初週に天気の子を抑えランキング1位になるなど、いま旬の映画です。

 

あらすじ

将来を期待されたエリートたちが集う私立・秀知院学園。頭脳明晰・全国模試上位常連の生徒会会長・白銀御行(平野紫耀)と、文武両道で美貌の持ち主・大財閥の娘である生徒会副会長・四宮かぐや(橋本環奈)は互いに惹かれ合っていた。
しかし、高すぎるプライドが邪魔して、告白することが出来ずに、半年が経過―。
素直になれないまま、いつしか自分から告白することが「負け」という呪縛にスライドしてしまった2人は「いかにして相手に告白させるか」だけを考えるようになっていた。
天才だから…天才であるが故に、恋愛にだけはとっても不器用でピュアな2人による、相手に「告らせる」ことだけを追い求めた命がけ(!?)の超高度な恋愛頭脳戦! 果たして勝敗は!? そして2人の初恋の行方は―?

予告

 

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【原作】

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単行本:既刊16巻(2019年9月19日時点)

ジャンル:ラブコメ

ポイント:「恋愛は戦。告白した方が負けなのである」

ダブル主人公の会話劇による1話完結型のラブコメ。ラブコメの中でもギャグが非常に面白く、話の構成も上手い。

たまに入るシリアス長編は賛否あるが個人的にはそれも含めて好きな作品。

花火回サイコーです。

ダブルメイン以外の脇を固めるキャラクターも個性があり、登場を重ねる度にキャラに深みが出るのが凄い。

現在「五等分の花嫁」と双璧をなすラブコメ王と言っても過言ではない。

 

【出演者】

白銀御行:平野紫耀

King & Princeのメンバー。イケメン。

…以外の知識が無いです

 

四宮かぐや:橋本環奈

瞬く間に人間界に現れた天使、1000年さんもすっかり女優として定着。

セーラー服と機関銃」,「ハルチカで主役を張った後、銀魂に神楽役で出演したことで一躍脚光を浴びコメディ女優としての側面も見せる。

今年は「キングダム」に出演。彼女の出演作は全部見てますが、だんだん演技が良くなってるように感じます。

 

藤原千花:浅川梨奈

SUPER☆GiRLSの元エース。

女優として見るのは初めて。

 

石上優:佐野勇斗

準メイン的な役割でちょくちょく拝見。

ちはやふるの後輩役が印象的。

 

柏木渚:池間夏海

ニセコイでは大正義、小野寺役で出演。あどけなさが可愛い。

個人的には小野寺みたいなTHE可愛いという役より、柏木さんみたいな若干サバサバしてる役の方が合ってると思う。

 

早坂愛:堀田真由

初めて見たけど、公開作を複数控えてるあたり売り出し中なのかな。

 

翼くん:ゆうたろう

芸人の方じゃないです。

 

白金父:高嶋政宏

政伸のほうだと思ってた。

 

田沼正造:佐藤二朗

福田雄一の右腕。

まさかこの人を毎日CMで見ることになるとは、ヨシヒコの仏役をやってたときには夢にも思わなかった。

ブレイクしすぎて食傷気味。

 

 

監督:河合勇人

「チア☆ダン」

兄に愛されすぎて困ってます

ニセコイetc....

チア☆ダン以降はアイドルファン向け映画が多いですね。

鑑賞中、映画ニセコイみたいだなーって思ってたらホントに同じ監督でした。目眩がした。

 

 

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【この映画の(個人的)注目ポイント】

  1. 原作各エピソードを一本の映画にまとめられているか
  2. 頭脳戦でのナレーション、モノローグ
  3. 「花火の音は聞こえない」

 

それではまず感想から

 

苦笑の前半から戦々恐々の後半へ!!

監督がやりたい事と原作の雰囲気が噛み合ってないワーストクラスの典型的失敗実写化

 

【ストーリー】

起:ナレーションによる人物紹介から、原作の映画回・恋愛相談回・ペス回・お見舞い回・恋愛相談回2で各登場人物の深掘り

 

承:夏休みに突入し、なかなか会えない2人。生徒会メンバーで花火大会に行くことになるが、かぐやは家の都合で行けなくなり…

 

転:花火回で距離が縮まったものの、生徒会の任期が終わってしまう。白銀とかぐや、それぞれの思惑で生徒会長に立候補し対立。

 

結:すったもんだあり和解。結局元の生徒会メンバーに。俺たちの恋愛頭脳戦はこれからだ。

 

 

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【良かった点】

ワーストクラスなんて言いましたが、良かった点も若干あります。若干

まず、メイン二人の表情の演技

美男美女ですし、それなりに様になっているので見た目、表情の演技なんかは意外と良かった。外見だけで言えば、ちゃんと白銀とかぐや様。

柏木さんが可愛い

柏木神がちゃんと可愛い。それだけ。

この映画に出て唯一株が上がったキャラでは。

原作小ネタ

ちょっとした所に原作の小ネタがあるので、原作ファンは結構嬉しいかも。

気づいただけでも、

・全国模試一位に四条帝の名前

・かぐやコスプレ

・ドーンだYO

ハウリング

・エンドロールで原作表紙を再現

映画で収録できなかったエピソードを小ネタとして出したり、原作ファンだけが気づく演出なんかは原作愛を感じて好感が持てました。

 

ではなぜ肝心のストーリーに原作愛を微塵も感じないのか?

不思議でしょうがない

 

【悪かった点】

ナレーション、モノローグ

原作ファン、アニメを見た方ならご存知だと思いますが、この漫画で非常に重要なのがナレーション。

どの回でもナレーションが多く入り、読者の情報整理として、時にはセルフツッコミとしての役割を担っています。

 

ワンピースで例えると、麦わら海賊団で言うナミ、ロビン

スラムダンクの湘北で言うと、ゴリ、メガネくん、三井、安西先生

こいつらが抜けた後の組織を想像してみてください。まとまりが無く、しっちゃかめっちゃかですよね。

そんな惨状が今作では繰り広げられています。

ナレーションを務めるのは佐藤二朗

佐藤二朗が悪いわけではないです。起用した監督が全面的に悪い。

物語の狂言回しで、ある種の緊張感を維持させる役割を佐藤二朗にしますかね、普通。本業の声優を使え

 

また、1番許せないのが物語の導入部、ナレーションで「恋愛は戦…」と語られるのですが、

画面右下に顔つきで、ナレーション:佐藤二朗。の表示が…

NHKのナレーション番組でも見ない演出を、まさか劇場で観れるとは。あっぱれです

 

福田作品での佐藤二朗のブレイク後、「とりあえず佐藤二朗にアドリブっぽい事させとけばいいんでしょ」という映画をいくつか観ましたが、特に今作では顕著でした。

後半、それが爆発するのですがそれは後ほど。

 

メイン二人のモノローグが控えめに言ってもイマイチなのは、観る前から分かってたのでとやかく言いません。

 

演出が派手

チア☆ダン、ニセコイでもそうでしたが、この監督はとにかく演出が派手。

アニメみたいな背景演出、セリフをテロップで入れる、大げさな効果音、現実ではありえない身振り手振り。

割と演出の雰囲気が近い、ニセコイでやるならわかりますが、かぐや様はラブコメと言えど青年誌。原作の落ち着いた雰囲気の中で行われる頭脳戦?が台無しになっています。

 

派手な演出は画面効果だけではなく、多所に影響を与えているのですが、特に気になったのが会長と翼くんの恋愛相談を盗聴する場面。

 

原作では生徒会室の扉越しに偶然聞いてしまうのですが…映画では早坂のハイテクマシーンにより会話風景をホログラムのようなもので盗聴ならぬ盗撮するのですが、その時にかぐやがかけるハイテクメガネがこれ

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ウルトラセブン」のキャッチアイなのであります。ズギュューーーン!!

この改変、、いります?

扉越しに会話を聞くという表現がそんなに難しかったのでしょうか

 

エピソードの選出

前半は原作にあった複数の1話完結のエピソードがメインになるのですが、その選出が微妙。

全体的にもっと落ち着いた雰囲気にして、相合い傘回や藤原・石上を掘り下げる回を入れた方が、後半のややシリアスな展開に向けて効果的だったように思える。

 

お見舞い回は集客のために必須だったのも分かるし、オチはエピソードとしても良いと思うが仲直りがあっさりしすぎ。

そしてなにより相談相手が石上ではなく翼くんになるという謎改変。

石上の個性が良く出る回なのだがなぜ翼くんにスポットライトを当ててしまったのか…

 

上記のエピソードをカットしたり、採用したエピソードの尺を省いてまでペス回を入れる気概には、

「橋本環奈と浅川梨奈に絶対にち○ち○と言わせるんだ」

という、黄金のような覚悟を言葉でなく心で理解しました。

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花火の音は聞こえない

原作で屈指の人気エピソード。

前編・後編の2部構成から成るのですが、このエピソードは数話前の夏休み突入回から始まっています。

夏休みに入ってしまい、お互いに会えない毎日。気があると思われる訳にはいかないので、当然相手を遊びに誘うことなんてできません。

2人が一回合わない話が5話ほど続きます。

 

そんなつまらない夏休みの、唯一の光が生徒会メンバーでの花火大会。

このイベントだけを楽しみに夏を過ごしていた2人ですが、大財閥の長である父親の許可が降りず、かぐやは花火大会に行けなくなってしまいます。

かぐやを除いた生徒会メンバーが花火を見ている中、1人、部屋のベッドで泣いているかぐや。

ここでタイトル「花火の音は聞こえない 前編」

 

後編はタイトルの意味がガラッと変わる劇エモ回なのですが、この記事を読んでる方はほぼ既読だと思うので割愛します。

 

かぐや様ファンは全員好きなこのエピソード。(異論は認めません)

この出来によって映画の評価が決まると言っても過言ではない…

そんなエピソードを今作では、うっかりエモさゼロの完成度で世に送り出してしまうのであります。

以下、箇条書きで

 

1.まさかのクライマックスではなく中盤

原作でも初のシリアス長編(2話ですが)かつ、2人の関係性が進展する区切りのような回なので、映画でもこのエピソードがトリに来ると思っていました。みなさんも思ったのでは?

(事実、アニメでは最終回に採用)

 

ところが映画ではまさかの1時間をやや過ぎた中盤で展開。

まずここから間違いなのではと思ってしまいます。

会長はもちろん石上、藤原との交流もほとんど描かれないため、「初めて出来た後輩〜」のモノローグも薄っぺらく感じる。

 

2.夏休み期間のタメがないのでカタルシス0

原作では5話前後に渡り、会えない2人を描写し、花火回へのタメを作っていました。

タメがあるからそれが解放された時に、より大きなカタルシスを感じるのですが今作ではタメがほぼありません。

 

夏休みにも関わらず学校に行き、時間差ですれ違ってしまうというエピソードはあるものの、

映画開始から割とすぐに夏休みに突入しているので、いつも一緒にいた2人が夏休みによって引き裂かれてしまった、という感覚が観てる側には無い。

申し訳程度に「早く会いたいなあ」と呟いた後、すぐに花火回なのでタメもクソもあったもんじゃない。

早く2人が再開する所が見たいという、もどかしさが微塵も無いのです…

 

前半1時間で原作各エピソードを繋ぎ合わせ、藤原・石上を含めた生徒会メンバーの掘り下げ。後半30分を夏休み期間に使い、会いたいけど会えない2人を演出。

ラスト30分でじっくり花火回。

 

これではダメだったのでしょうか…

 

3.四宮家使用人が異常なほどハイテンション

原作では早坂を除く使用人の顔が、陰で隠れてほとんど描写されません。

みんな同じメイド服というのが不気味さを増長させ、花火回前編の陰鬱とした雰囲気作りのアクセントとなっています。

 

しかし映画では何を思ったのか全員超オーバーリアクションのハイテンション。

アツアツでしたね。

批評は続ける!指は止めない!!

(分かる人だけ分かればいいです)

 

4.外出禁止を食らったかぐやが悲しそうじゃない

もっと泣け!!!

 

 

そして物語は怒涛の後半へ…

散々ボロクソ言いましたが、ここまでの映画前半はまだ序の口。

体裁だけは原作をなぞっているため、まあ見れないことはないです。

 

後半はオリジナル展開になるのですが、これがまあ酷い。

 

まず佐藤二朗の使い方。

前半ナレーションのみの出演だった彼が、後半では大立ち回りを見せます。

しかし所詮、福田雄一の二番煎じでしかなく全く笑えない。

ヨシヒコでよくやる、長回しでアドリブっぽいセリフをそのまま使うアレを本作でもやっているのですが、そもそもかぐや様であんなギャグ見たことないですよね。違和感しかない。

「とりあえず佐藤二朗にこんな事させとけばいいんでしょ」感をビンビンに感じて笑うどころか不快でした。

(佐藤二朗さんは好きです)

 

その後、生徒会の任期が終わり、新たな生徒会長を決める選挙戦へ話は進みます。

原作で言うとミコちゃんが出てくる回ですね。

面倒なので色々割愛しますが、

かぐやが余命僅かだと勘違いしている白銀は、かぐやに責務を合わせないため会長に立候補

かぐやは、白銀と任期終了後も側にいるために彼を副会長に任命できるよう会長に立候補。(たしか)

 

選挙戦を行うなかで、藤原が白銀側に寝返ったと勘違いしたかぐやは、白銀と本格的に対立。

 

迎えた選挙戦でこともあろうか、かぐやは全校生徒の前で白銀を陥れようとします。(全校生徒少なすぎというツッコミはナシ)

個人的にこの行動に「うわー…」と引いてしまいました。

 

原作のかぐやは、外面的には白銀に冷たい態度を取ることもありましたが、心の中ではずっと白銀の事を想っていました。

ですが映画のかぐやの行動は明らかに白銀に対して敵意を持った言動をしており、好きとは到底思えません。

ここが崩れてしまうと最早恋愛頭脳戦では無くなってしまい、話の根幹が崩れてしまうと感じるのは私だけでしょうか。

 

誤解を解くために白銀が取った行動が、藤原と練習していたソーラン節の披露。

 

*原作の白銀

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*映画の白銀

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どうしてこうなった

 

誤解が解けた2人は全校生徒の前で、色々な国の「大好き」を言い合う奇行に出るのですが、あまりの激アツ展開に脳が追いつかず、この辺はあまり覚えてません。

 

結局白銀が勝ち、元の生徒会メンバーに戻ってめでたしめでたし。私達の恋愛頭脳戦はこれからだ!で大円団。

 

以上が後半の流れになります。

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ジャニヲタがうるさい

隣の席が平野くんのファンだと思われる女子学生でかなりうるさかったです。

でも途中から映画自体どうでもよくなったので許します。

 

他にも

・中途半端に原作再現しているため、石上がキャラ崩壊

・アニメに寄せすぎて藤原がヤベー奴

(天然系じゃなくて○○系)

・不要な下ネタや表現が目立つ

など不満点がありますが長くなるためカットします。

 

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結果的に

1.原作各エピソードを一本の映画にまとめられているか
2.頭脳戦でのナレーション、モノローグ
3.「花火の音は聞こえない」

 

3つの注目ポイント全てがイマイチな映画になっていました。

 

最後に項目ごと採点をし、終わりとさせていただきます。

 

原作再現度   5/10

映像   3/10

ストーリー   2/10

改変・オリジナル要素  0/5

 

原作ファンおススメ度 ★☆☆☆☆

 

 

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誰もが平野くんに目を向ける

 

 

赤坂先生が私のために見せてくれた実写映画

 

 

だけどごめんなさい

 

その歓声から耳が話せない

 

 

隣の席の声がうるさくてもうーー

 

 

映画の音は聞こえない

 

ではまた次の記事で!!

 

オープニングロール

【ご挨拶】

みなさん、初めまして。

突然ですがSNSの世界でいま若者に、最も好かれてるものはなんだと思いますか?

中村倫也?違います。正解はタピオカです。

 

では最も嫌われてるものはなんでしょうか。

そう、漫画の実写映画化。

2位のTik Tokerを抑え堂々の1位!

異論は認めません。

 

製作発表があれば文句、ビジュアルが公開されたら罵声、予告がYouTubeに上がったら罵詈雑言。挙げ句の果てには、観てもないのにボロクソに叩く始末。

彼らは実写化映画に親でも殺されたのでしょうか。

 

「よく分からないけどみんな飲んでるから…」

「よく分からないけどみんな叩いてるから…」

タピオカと実写映画、ある意味では似た者同士なのになぜこうなってしまったのか…

 

このブログは世の中に溢れる漫画実写化映画を紹介するだけの、私の日記帳です。

こいつ何言ってんだ?と思ったら罵倒の言葉と共に拡散。

ふーん、やるじゃん。と思ったら賞賛の言葉と共に拡散していただけると嬉しいです…

 

タピオカはここまでの大ブームになるほど、本当に美味しいのか?

Twitterでボロクソに言われてる映画は本当にクソ映画なのか?

真実はこのブログの中に。(あるかもしれない)

 

【本文】

*週に2回、最低でも1回のペースで投稿

*実写化映画大好きマンですが、映画通ではないのでご理解を

*漫画の実写化には肯定的ですが、つまらないと思った作品には辛口コメントします

*よろしくお願いします🙇🏻‍♂️🙇🏻‍♂️🙇🏻‍♂️🙇🏻‍♂️🙇🏻‍♂️🙇🏻‍♂️🙇🏻‍♂️